外国人労働者採用許可 (Labor Certification)

雇用関係第2優先(国益免除の申請が許可された場合を除く)、及び第3優先カテゴリーに基づく移民ビザのスポンサーとなる米国雇用主は、移民局にビザ請願を行う前に連邦労働省から外国人労働者採用許可を取得する必要があります。(雇用関係に基づく移民ビザの取得については、本サイト「アメリカビザ移民法ガイド」の「雇用に基づく移民ビザ」を参照して下さい。)

1.外国人労働者採用許可申請の概要
2004年12月27日連邦労働省は、外国人労働者採用許可申請の審査手続を大幅に変更する改正規則を公布し、2005年3月28日から「PERM(Program Electronic Review Management)」と呼ばれる新たな審査方式が実施されています。

雇用者は、以下の2点を労働省に立証することによって外国人労働者採用許可を取得します。
生まれの人は応募資格があります。

移民ビザ取得予定の外国人が就こうとしているポジションに最低限適した米国人労働者を容易に雇用することが出来ないこと。
当該外国人を採用しても、同様のポジションにある米国人労働者の賃金、労働条件に不利な影響が及ばないこと。

前述したように、以下の雇用優先カテゴリーに基づいて移民ビザを取得する場合、外国人労働者採用許可申請を行う必要があります

(1) 雇用第2優先カテゴリー
科学、芸術(スポーツを含む)、ビジネスの分野で例外的な能力を持つ外国人、上級レベルの学位を持つ専門家のいずれかに該当し、国益免除 (national interest waiver(*))の申請をしない場合、または同申請が却下された場合、外国人労働者採用許可を取得する必要があります。

*「国益免除の申請」とは?
雇用第2優先カテゴリーに基づく移民ビザの場合、原則として米国雇用主が移民ビザ請願の請願者になる必要があり、外国人自らが請願者になることはできません。この要件からの免除を希望する外国人は、自分に移民ビザを付与することは米国の国益(経済的、文化的、教育上の利益)につながることを移民局に説得する必要があり、そのための申請を国益免除の申請を言います。移民局にこの申請が許可されると外国人労働者採用許可を労働省より取得する必要がなくなります。

(2) 雇用第3優先カテゴリー
特殊技能者、学士号を持つ専門家、非特殊技能者のいずれかに該当する外国人がこのカテゴリーに属します。

スケジュールA職種の取扱い:
連邦労働省は、米国人労働者が慢性的に不足しており、外国人労働者を採用しても同様なポジションにある米国人労働者の賃金、労働条件に不利な影響が及ぶことはないとされる職種を予め特定しています。この職種は「スケジュールA職種」と言われ、一定要件を備えた物理療法家、専門看護婦、科学または芸術分野で例外的な能力を持つ外国人、及び演技、音楽、舞踊など公演芸術に従事する者は除くが挙げられています。スケジュールA職種に就職予定の外国人労働者について雇用主は労働省に外国人労働者採用許可申請をする必要はなく、同申請を移民局に移民ビザ請願書と共に提出します。


2.外国人労働者採用許可申請の審査手続
(1)州労働局に相場賃金決定依頼書(Prevailing Wage Request Form)を提出
雇用主は、連邦労働省に外国人労働者採用許可申請書を出すに先立ち、外国人の予定勤務州の労働局(SWA)に対し、当該外国人に支払われる賃金の算定基礎となる相場賃金額(Prevailing Wage) の決定を求めるリクエスト・フォームを提出します。各州それぞれがリクエスト・フォームを指定しています。

州の労働局は連邦労働省の「Occupational Employment Statistics(OES)」と言われる情報を利用して相場賃金額を決定します。雇用主は、一部例外を除き、OES以外の情報源を利用して相場賃金額を決定するよう州労働局に要請することもできますが、利用するか否かの決定は州の労働局が行います。

旧審査手続では、州労働局の決定した相場賃金の少なくとも95%以上を賃金として支払えばよいとされていましたが、PERM規則では、相場賃金と同額以上の支払が義務付けられています。

州労働局によって決定された相場賃金の有効期間は、州により異なりますが、決定から90日以上1年以内とされています。この有効期限内に後述の求人活動、及び連邦労働省への外国人採用許可申請を行わなければなりません。

(2)求人活動
雇用主は、外国人労働者採用許可申請書提出前6ヶ月以内に、外国人就労予定のポジションに適したアメリカ人労働者がいないかどうかをテストするため、当該ポジションに対する求人活動を実施しなければなりません。この求人活動は、外国人労働者採用許可申請提出の30日前までに完了していなければなりません。
また求人活動は州労働局が決定した相場賃金の有効期限内にまず、雇用主には以下の2つの方法で求人を行うよう義務付けられています。

  1. 州の労働局(SWA)に当該ポジションへの求人募集依頼(ジョブ・オーダー)を行う。
  2. 勤務予定地において一般的に購読されている新聞の日曜版に2回求人広告を出す。(但し、専門職に対する求人活動を行う場合については、日曜版への広告1回分に代わて、専門誌に広告を出してもよいことになっています。)

専門職に対して求人活動を行う場合、上記方法に加え、以下のいずれか3つの方法を利用して求人活動を行うことが要求されています。この場合、選択した3つの方法のうちいずれか1つの方法による求人活動が申請書提出前の30日前までに完了していればよいとされています。

  1. 就職フェアー
  2. 雇用主のウェブサイト
  3. 就職検索サイト
  4. 雇用主が大学キャンパスで行う就職説明会
  5. 業界・専門団体
  6. 就職斡旋会社
  7. 人材紹介プログラム
  8. 大学の就職課
  9. ローカル新聞、エスニック新聞
  10. テレビ・ラジオ広告

雇用主は求人活動に関する報告書を作成し、連邦労働省への申請書提出日から5年間作成した報告書を保管しておかなければなりません。PERMにおいては、申請書に記載した内容を裏付ける書類を申請書と併せて提出する必要がなくなったため、後述のETAによる監査対象となった場合や、ETAの指導・監督のもとで再度求人活動を行うよう命じられた場合に限り報告書の提出が必要となります。

報告書には、具体的にどのような方法で求人活動を行ったか、その結果はどうであったのか、その詳細を記録します。求人活動の結果については、アメリカ人応募者の数、採用・不採用にしたアメリカ人労働者の数、不採用にした理由等が記載されていなければならず、とりわけ不採用にした理由については、仕事に関連する合法的な理由があったことが十分に説明されていなければなりません。

(3)連邦労働省に外国人労働者採用許可申請を提出
続いて雇用主は、連邦労働省の雇用訓練事務局(ETA)に外国人労働者採用許可申請を行います。(Form 9089を用いて行います。)

優先登録日(Priority Date)の扱い
申請書を郵便で送った場合、申請書がETAに受理された日付が当該申請の優先登録日となります。オンラインで申請を行った場合は、インターネット上で申請を送信した日付が優先登録日となります。

優先登録日とは?
移民ビザの場合、年間発給されるビザの数に上限があります。雇用に基づく移民ビザの場合、年間14万件までとされています。14万件のビザはさらに各優先カテゴリーに一定の割合で振り分けられることになっている上、各国7%という上限もあるため、労働省より外国人採用許可を取得し、移民局から移民ビザ請願が許可されても、すぐに次のステップ(移民ビザ保持者としての登録申請)に進めない場合があります。

(移民ビザ保持者としての登録申請とは、外国人がアメリカ国外に居る場合、アメリカ大使館・領事館で行う移民ビザ申請を、外国人が非移民ビザを所持して合法にアメリカ国内に滞在している場合には、非移民ビザから移民ビザへの切り替えを行う在留資格調整申請のことを言います。)

国務省は毎月「ビザ官報(Visa Bulletin)」を公表していますが、この官報を見れば、移民ビザ保持者としての登録申請に進む順番待ちの状況が把握できるようになっています。ビザ官報を見る上で重要なのが「優先登録日」といわれる日付です。現行システムでは、雇用に基づく移民ビザの場合、外国人労働者採用許可申請がSWAに受理された日付が優先登録日となります。自分の申請の優先登録日が、ビザ官報に記載されている日付(カットオフ・デイト)より前の日付になっていれば、移民ビザ保持者としての登録申請に進むことができます。なおビザ官報で「CURRENT」と記載されている場合、移民ビザ請願の許可が下りるとすぐに移民ビザ保持者としての登録申請に進むことができるということを意味しています。


3.監査(Audit)制度
連邦労働省ETAは申請を受理すると、コンピューター審査で問題ありとされた申請書を対象に監査を実施します。申請内容に問題がない場合でも、ランダムにピックアップされて、監査の対象となることもあります。

ETAは、監査対象となった申請を行った雇用主に対し「監査実施通知書(Audit Letter)」を送り、申請内容を裏付ける書類を提出するよう要求してきます。通知書の30日以内に提出しないと、申請は却下される上、却下決定への不服審判請求も認められません。またこの場合、同雇用主がその後2年の間に行う外国人労働者採用許可申請を行う際、申請前の求人活動だけではなく、後述のETAの指導・監督の下で求人活動を行わなければならないとする罰則が科せられる可能性もあります。

他方、監査対象とならず、問題なしとされた申請については、許可決定が下り、申請書が雇用主に送り返されます。その後移民局は移民局にビザ請願を行うことになりますが、その際許可された外国人労働者採用許可申請も併せて移民局に提出します。


4.ETAの指導・監督の下で行う求人活動
申請書提出前に行った求人活動の報告書内容に疑問があるなど、審査官が必要と判断した場合、ETAの指導・監督の下で再度求人活動を行うよう命じられる場合があります。その結果については、報告書にその詳細を記述し、ETAから報告書を提出するよう請求された日から30日以内に提出するよう義務付けられています。期限内に提出がないと、申請は却下され、却下決定を不服とする審判請求は一切認めらません。なお、報告書に記載すべき内容は、申請書提出前に行った求人活動の報告書への記載内容と基本的に同じです。


5.旧規則に基づいてなされた申請から新規則に基づく申請への切り替え
旧規則に基づいて行った申請を、旧規則により決定された優先登録日をそのまま維持して新規則に基づく申請に切り替えるためには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。(切り替えを希望しない場合は、旧規則に基づき審査されます。)

  1. 旧規則に拠った求人募集依頼(ジョブ・オーダー)がまだSWAに出されていないこと。
  2. 審査中の申請を取り下げ、取り下げから201日以内に新システムに基づく申請を行うこと。
  3. 申請内容が同じであること

但し、審査中の申請を取り下げる手続を特に踏まなくても、新規則に従って新たに申請を行い、その中で現行システムでの優先登録日をそのまま利用したい旨を明確に示しておけばつまり、Form 9089 のA-1の問いに対する回答で「Yes」にチェックを入れておけば、旧規則に基づいてなされた申請は取り下げられたものと扱われます。


ここで提供されている情報はアメリカ移民法についての一般的な情報であり、個々の事例の法的アドバイスとして利用されるものではありません。この情報だけで御自身のケースを判断なさらないで下さい。

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