2007年6月19日国務省は、連邦官報(Federal Register)においてJ-1ビザの改正規則を公布しました。同規則は2007年7月19日より施行されます。

 

J-1ビザは「交流訪問者ビザ」と言われ、留学生、研究生、学者、トレーニー(研修生)等として国務省の認可した交流訪問プログラムに参加する外国人に利用されている非移民ビザですが、今回の改正はこのうちトレイニー・プログラムを対象とするものです。

 

国務省は、今回改正に踏み切った理由として、トレーニー・プログラムのスポンサーの中にはこの制度を濫用し、トレーニーと称しながら、実際はトレーニングを行っている会社の従業員として就労させ、H-1Bビザの代用としてJ-1を利用するなどの事例が数多く報告されているため、と説明しています。そのため新規則は、プログラムの運営等につき従来の規則より厳しい内容になっています。

 

 

主な改正点は以下の通りです。

 

① トレーニーとしてプログラムに参加するための要件が変更されました。

新規則では、下記いずれかに該当する方のみトレーニーになることができます。

  (1)     アメリカ以外で大学、短大、専門学校を卒業し、かつ、アメリカ以外の国で参加予定のプログラムに関連した分野で1年以上の実務経験のある方。

  (2)     アメリカ以外の国で参加予定のプログラムに関連した分野で5年以上の実務経験がある方。

 

    新たに「インターン」というカテゴリーが設けられました。インターンとしてのプログラム期間は最長12ヶ月間です。現在アメリカ以外で大学、短大、専門学校において教育を受けている方、または卒業して12ヶ月以内の方が利用できます。

 

     トレーニーのプログラム期間は最長18ヶ月間です。ただし、農業、及びホスピタリティー(接客業)・旅行業の分野に関するプログラムの場合、その内容がマネージメント・プログラムでなければ、最長12ヶ月となります。(マネージメント・プログラムであれば最長18ヶ月まで認められます。)

 

     トレーニー、インターンいずれにおいても、ホスピタリティー及び旅行業の分野でのプログラム期間が6ヶ月以上にわたる場合、少なくとも3ヶ所の部署または職務をローテーションしなければなりません。

 

     トレーニー・プログラム、インターン・プログラムいずれにおいても、プログラムのスポンサーが別の会社等に実際のトレーニングを実施させたり、あるいは外国人の募集を代行させるなど、プログラム実施につき第三者機関を利用する場合、スポンサーは当該第三者機関との間でその関係を定めた書面の契約書を締結しなければなりません。

 

    スポンサーは、実際にトレーニングを行う第三者機関からDun & Bradstreet社(信用調査会社の最大手)のID番号(ただし大学、政府機関、家族農場の場合を除く)、またはEIN番号を入手すること。さらに、スポンサーは、同第三者機関の住所、電話番号及び業務内容に関する確認と、労災保険に加入していることの確認を行わなければなりません。

 

     スポンサーは、トレーニー、インターンがトレーニングを行うに必要な英語力を有していることを確認しなければなりません。確認方法として、公認の英語テストの利用や語学学校からの署名入りの手紙の入手、またはスポンサーによる直接対面、ビデオ会議、インターネットカメラを通した面接の実施を通じて行うこととされています。

 

⑧  新規則ではトレーニー・プログラム、インターン・プログラムが就労を目的とした雇用の代用となってはいけない旨が明記されました。